TED |幸福と成功の意外な関係 ショーン・エイカー|成功しても幸せを感じられないこと

心理学者・ショーン・エイカーさんが語る『幸福と成功の意外な関係』というTED。

え、なに、意外な関係ってなに!

成功が幸せを導くんじゃないの!?それ、因果じゃんよ!

て思うけど、どうも違うらしいです。

幸せになるために成功を目指している人、あるいは、成功してるはずなのにそこまで幸せを感じられていない人は、何かヒントをいただけるかもしれません。

「幸せだ!」と胸を張って言える自分がいるかどうか

40代になって、はたと振り返る。

自分の人生ってこれでよかったんだっけ。
ここを目指してきたんだっけ。
あれ、そもそもどこを目指してたんだっけ?

どこを目指して人生歩んできたか、今どこを目指して歩んでいるかなんて人それぞれ。

けれど、きっと共通していることがある。

それは、幸せになりたいと思って歩んでいるんじゃないか、ということ。

「俺は不幸になりたいんだ!」
「私は悲しみの海を泳ぎたくて今を生きている!」

なんて人はほとんどいないもの。

じゃぁ、どうだ?幸せを感じているか?

うーん、、、なんだか「幸せだ!」と胸を張って言えない自分が僕の中にある、、、かもしれない。

上を見ればキリがないけれど、平均年収以上のお給料をいただき生活は何不自由なく暮らせる。ちょっとの我慢も必要だけど、欲しいものはなんとなく手に入れられる。社会的にも誰かの何かのお役に立てる職業についている。組織内でそれなりのポジションにもついている。働く仲間もいて頼ってくれる後輩もいる。

まてまて、これだけ揃っていて、なぜ「幸せだ」と胸張って言えないのだろう。振り返れば、それなりに頑張って、いろんなものを手に入れて、ここまできたのに。

思えば、物心ついた頃から、世間の「頑張れば報われる」とか「頑張らないと幸せにはなれない」とかそういう空気に流されるようにして、「だから頑張ってきた」過去があるなぁ。

「いい学校に入って、いい就職をして、いいお給料を稼いで」

そこまで強迫的に流されてきたわけでもないけれど、どこか澱のようにそれがあってやってきていたかもしれない。

「頑張ったら、成功できる。成功して幸せになるんだ!」

みたいな。

そんな僕に、ショーン・エイカーさんは

私たちが 幸福と成功の法則を変えられれば 私たちにできることが変わり 現実を変えることもできるのです

とぶっ込んでくる。

なになに、どういうこと・・・

この3年間に私は45カ国を巡り 学校や不況下の企業とともに 取り組んできました 気づいたのは ほとんどの企業や学校で 考えられている成功の法則は 「一生懸命がんばれば成功できる 成功すれば幸せになれる」というものだということです これは多くの人の子育てや マネジメント法 動機付け方法の基礎になっています

いや、そうだよ。え、そうじゃないの?違うの?

「幸せが成功の向こう側にあるのなら 脳はいつまでもたどり着けません」

これの問題は 科学的に間違っており 逆だということです 第一に 成功するたびに脳がするのは 成功の定義を再設定するということです 良い成績を取れば もっと良い成績を取る 良い学校に入ったら さらに良い学校に入る 良い仕事に就いたら さらに良い仕事に就く 販売目標を達成したら 目標をさらに上げる 幸せが成功の向こう側にあるのなら 脳はいつまでもたどり着けません 私たちがしてきたのは 社会が一体となって 幸せを認知できる範囲外に追いやるということです それは私たちが「成功したら幸せになれる」 と考えているからです

あ、、、、、、確かに。

いや、決して全てが全てでもないけどさ。

でも、上へ上へと常に考えてたら、ひとつのステップを達成できても、また次のステップが現れて、達成できたステップの喜びも束の間という流れはわかる。

その流れの中で、身の回りにある人間関係、生活環境、物質的なもの、金銭的余裕、そうしたものに満足を得られないでいるのかもしれない。

「幸せが成功の向こうにあるなら、脳はいつまでもたどり着けない」

なるほど。

そういや各国の幸福度を調べた調査があったような・・・
と思い立って、ググってみると、

世界幸福度報告(World Happiness Report)という国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する幸福度調査のレポートにたどり着いた。

国連が毎年3月20日と定めている国際幸福デーに合わせて発行されるレポート。

worldhappiness.report

日本の順位をみてみると、、、、

2012年 44位
2013年 43位
2014年 (無し)
2015年 46位
2016年 53位
2017年 51位
2018年 54位
2019年 58位
2020年 62位

ダダ下がりやん・・・・
ま、それはおいといて。

153カ国中62位で先進国では最下位なんてよく言われているけれど、ふーむ。

この順位を割り出す基準は以下らしい。

それぞれの国の幸福度は0~10の値からなる各個人の回答の数値の平均値である。

説明変数は

・人口あたりGDP(対数)
・社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)
健康寿命
・人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)
・寛容さ(過去1か月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか)
・腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)

の6つであり、回帰分析で得られるこれらの説明変数の幸福度に対する寄与が与えられている。

Wikipediaより

それに基づいて割り出された日本のスコアを

kokai.jp

さんは以下のように説明してる。

GDP」と「健康寿命」を除き、「汚職の無さ」「社会的支援」が低く、特に低評価なのが「社会的自由」と、「寛容さ(他者への寛大さ)」です。さらに日本人は「人生評価/主観満足度」が非常に低い評価点です。

世界幸福度ランキング2020(World Happiness Report 2020)日本62位|素敵な情景とクリエイティブ

細かすぎでざっとしかみていないけど、

https://happiness-report.s3.amazonaws.com/2020/WHR20_Ch2_Statistical_Appendix.pdf

をみれば、まぁ、そんな感じかと思う。

低評価とされる「社会的自由」「寛容さ」 非常に低い「人生評価/主観満足度」

ふむ、面白いぞ。面白くなってきた。

これは2019年のレポートに対する東洋経済オンラインの記事で、幸福度の低い原因として自由度が低いことをあげ、それを考察している部分だけど、

生活を自分で管理できる機会が与えられて初めて、人は幸せを感じることができる。所得が低くても、自分で自分の生活を管理できる道があれば、やはり幸せだと思えるのです。自分の行動を自分で決めるという自由度についても満足度を上げる要因になっています。

日本人が「幸せ」を外国人より感じない根本理由|東洋経済ONLINE

ははぁ〜ん。感覚としてわかるな。

一方、

www.manegy.com

ではこんな紹介の仕方がされてる。

さらに「寛容度」に関しては、ボランティア活動への貢献度がランキングの判断材料になるようで、積極的にボランティア活動を行っている国ほど、主観的な満足度が高くなるとも言われています。この主観的という表現が非常に重要です。

日本社会では欧米ほどボランティア活動が根付いていません。他者のために奉仕することが幸福感につながるのであれば、ボランティア活動の機会が少ないことが「寛容度」を低下させる要因になっているのかもしれません。

「世界幸福度ランキング」1位は欧州のあの国に、気になる日本の順位は?|Manegy

「この主観的という表現が非常に重要です」ね。

はははぁ〜ん。

一方、国内。なぜ、福井県が「幸福度」ランキングで上位なのか

そんなこんな調べてたら、

diamond.jp

という記事にでくわす。

福井県は高順位の常連で、それがなぜか?ということの分析を紹介している箇所があって、

3位の福井県は、アンケートで「とても幸せ」と答えた人が33.6%と47都道府県中、一番多かった。30代では80.3点とダントツ1位だ。しかしこの結果から気になるのは、同調査がほかに行った「満足度(35位)」「定住意欲度(34位)」「愛着度(38位)」などのランキングでは順位が低いのに、幸福度だけが上位という点だ。つまり、個人の幸福度と生活環境への満足度が異なる結果になっている。これについて、調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長はこう分析する。

福井県文科省が行っている小学生・中学生の全国学力テストで、常にトップクラス。それくらいの年齢の子どものいる親世代が30代であるため、幸福度が高くなっているとも考えられる。そして、もう1つの要因として考えられるのが別の幸福度調査などで『幸福度1位』の常連になっている点だ。『福井県は幸福度が高い』という長年の刷り込みによって、今回の調査でも『幸せ』と答えた人が多いのではないか」

都道府県「幸福度」ランキング2019【完全版】|DIAMOND online

「『福井県は幸福度が高い』という長年の刷り込みによって、今回の調査でも『幸せ』と答えた人が多いのではないか」

って、おい!なんて乱暴な!!!笑

と思ったけど、あながちそうかもしれない。

要は、福井県の人たちは「幸せだ」って思い込んでるから幸せなんですよ、ってことでしょ。

でもね、すごく大切な観点だとも思うし、思い込んでるとしても「幸せだ」って思える心ってすごいことだと思う。ほんと。

ショーン・エイカーさんも同じようなこと言ってるんですよ。

脳が世界を見るレンズによって 私たちの現実は形作られる

必ずしも現実が私たちを形作るのではなく 脳が世界を見るレンズによって 私たちの現実は形作られるということです そのレンズを変えれば 自分の幸福を変えられるばかりでなく あらゆる学習や仕事の結果を変えることもできるのです

幸せが成功の向こう側にあると考えて、成功すれば次の成功を求め、いつまでもたどり着けない、という状態に囚われているうちはダメなんだろうな。

ショーン・エイカーさんは、まず「幸せだ」と思うことを勧めてる。

福井県の人たちが「幸せだ」って思い込んでるから幸せ、というのは正しいのかもしれない。

「「寛容度」に関しては、ボランティア活動への貢献度がランキングの判断材料になるようで、積極的にボランティア活動を行っている国ほど、主観的な満足度が高くなるとも言われています。」

とあるけれど、ボランティアだって「成功するために」なんて観点でしたって幸福度につながらないのは経験上もそう思う。だれかの役に立てることが幸せ!と思うことが先に来ないとボランティアをしたからって、寛容度が上がって、幸福度につながるとはならない。

さきほども紹介した世界幸福度ランキング」1位は欧州のあの国に、気になる日本の順位は?|Manegy

「積極的にボランティア活動を行っている国ほど、主観的な満足度が高くなるとも言われています。この主観的という表現が非常に重要です。」

というのにもつながる。

そして、自由度。

「生活を自分で管理できる機会が与えられて初めて、人は幸せを感じることができる」という点で、より自由度の高い労働環境とか子育ての環境とか、もちろん、そうした環境の充実も必要なのだと思うけど、根本的に渇望している心があるうちは豊さや満足を感じられないものかもしれない。

もっと!もっと!!もっと!!!!と思っているうちは辛い。

成功は手段、手段に囚われると見失うものがある

だが、しかし。じゃぁ、目の前にあるものをただひたすら「幸せだー」って考えれば良いかというとそうじゃない気もする。

「雨露をしのげる家に住めて、蛇口をひねれば水が出て、夜も明かりの中で生活ができて、飢えることなく生活できれば幸せじゃないか」といわれると、いやいやいやいや、ってなる。

人類は、より良い状態を求めて歩んできて、ここまで発展し、幸福度を上げてると思うしな。

「幸せになるためにより良くならなければ」という歩みが、過去との比較で間違いなく幸せを創っている部分もある。

おおお、難しくなってきた。

ふむ、ただ、、、身近なものに対する見方を変える必要がありそうだし、成功は手段であって目的ではないわけで、手段にばかり囚われていると見失っちゃうものがあるってのはなんとなく分かった気がする。

そして、僕なりの考察だけど「成功」と「幸せ」を分けて考えることをしてみてもいいかもしれない。ショーン・エイカーさんが言ってることとは違うけど。

動画の後半で、じゃぁ、どうやったらものの見方が変わるのか?みたいなことが説明されているけれど、ちょっと実践してみようかしら。

あと、現状へのポジティブさを感じられたとき、人は力を発揮することも研究で分かったそうです。そこらへんも面白い動画でした。